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書道の“静”が、日常を整えてくれる│大人の習いごと図鑑vol.6「書道」佐藤瞳さん

自信をつけたり、新たな居場所を見つけたりと、自分を愛する気持ちを高めるためにおすすめなのが、”習いごと”。

習いごとは、今まで触れたことのない世界に触れ、新しいことを知り、「できた!」の成功体験を積み重ねる、とても前向きな行いです。

ソラミドmadoの編集部員も、なんだか毎日が停滞気味でモヤモヤと感じていたときに、その状況を打破したくて習いごとを始めた経験があります。その結果、新しく世界が開け、前向きになることができました。

同じように日々モヤモヤを抱えて過ごす人や、前向きになりたい人に、習いごとの良さを知ってほしい。そんな思いで生まれたのが、ソラミドmadoの連載企画『大人の習いごと図鑑』です。実際に習いごとを楽しむ人にお話を聞き、それぞれの習いごとの魅力を紹介するとともに、その人の内面やライフスタイル、お仕事などにどんな影響があったかについて探ります。

第6回のテーマは「書道」。長年書道を習い、現在はご自身も師範として活動される、佐藤瞳さんにお話を伺いました。

子どものころに始めた書道。離れても、また筆を取りたくなった

──まず、佐藤さんが書道を始めたのはいつごろだったんですか?

書道を始めたのは小学1年生の時でした。自分から「やりたい」と言って、地元の教室に通い始めたんです。子どものころから絵や図工など、手を動かして表現することが好きだったので、なんとなくその延長で習ってみたくなったんだと思います。

その後、高校生までは続けていましたが、次第に遊びやアルバイトなどで忙しくなり、一度離れてしまった時期がありました。大学時代は全くと言っていいほど筆を持ちませんでしたし、このままやめてしまうんだろうな……と思っていましたね。

──その後、師範として活動されるまでに至った経緯が気になります。

大学4年生の時、卒論を書くために日本酒の蔵を取材することになり、関西の蔵元を訪ねたんです。その時に、蔵の社長さんが書道家の方と話しているのを見かけました。その書道家さんは、そこの蔵の日本酒のラベルを書いている人で、実はその人が今の私の先生なんです。

──偶然の出会いが、書道を再開するきっかけになったんですね。

私は卒論のテーマにするくらいお酒にも興味があったので、そんなお酒と書道がリンクして、運命を感じたというか……。心の中にあった「もう一度書道をやりたい」という気持ちが、一気に燃え上がったような感覚でした。 すぐに先生に「書道を再開したいと思っていて」と声をかけさせてもらったところ、快く受け入れていただき、今ではもう6〜7年ほど、その先生から学んでいます。

先生と出会えたおかげで、その後は上達のスピードを実感しながらより一層書道を楽しめるようになりました。現在の段位は七段で、今は私自身も師範としても活動しています。

細部へのこだわりと集中力。書道が教えてくれたこと

──佐藤さんが感じる書道の魅力や面白さについてもぜひお聞かせください。

書道の魅力は、「文字をアートとして楽しむ」芸術性にあると思います。字の美しさを極めるという発想自体が、世界でも珍しいですよね。小学校で習う習字は「止め・はね・はらい」などの基本を学ぶのが中心ですが、私が今やっている“書道”は、芸術としての文字の形や美しさを追求するものなんです。書道を通じて日本語の成り立ちに触れられるのも面白いですね。たとえば、草書(くずし文字)を書いていると、ひらがなの起源に触れることができたりと、いろいろな発見があります。

──芸術性や文化的な側面に惹かれて、書道を楽しまれているんですね。

そうですね。もちろん、上達する喜びもありますよ。練習を重ねれば上達が目に見えて分かるので達成感がありますし、自己肯定感が上がります。誰かと競うものでもないので、自分のペースで進められるところも魅力です。

それに、文字は言葉と同じくらい、その人の印象を決めるものだと思っています。字がきれいだと、それだけで「この人は丁寧そう」「信頼できそう」と感じることもありますよね。だから、周りから字を褒められるのもやっぱり嬉しいです。

──書道を続けてきたことで、何かご自身の内面に変化はありましたか?

細部にこだわる習慣が身につきましたね。もともと大雑把な性格なんですが、筆の角度や払いの形など、細かい部分を突き詰めるうちに、日頃から細かい部分に意識が行くようになりました。

私は普段は飲食店で働いているので、お店の清掃だったり、お客さまへの気配りだったり。書道を通じて「突き詰めればクオリティが上がり、それは人にも伝わる」という感覚が身についたので、仕事に対する意識も高まりましたね。とはいえ、こだわりすぎてもダメな時はあるので……カチッとしすぎず、遊び心を持つ、というのも、書道と仕事で共通して心がけていることです。

あとは、集中力が格段にアップしました。筆を持つと気づけば2時間経っている、なんていうこともザラです。書道の時間は、日常の忙しさとは真逆の「静」の時間です。文字を書くことで自然と心が落ち着き、終わったあとはリフレッシュできます。常に情報に触れている生活の中で、何かに没頭できる時間はとても貴重ですよね。

忙しい日常に“静”の時間を──書道がくれる心の余白

──どんな人に書道をおすすめしたいですか?

普段の生活が書道とは真逆の人、たとえば常に忙しく動き回っている方や、デジタル中心の生活をしている人、ですかね。そういう人ほど、意外とハマる場合が多いんですよ。

書道って、今の時代からすると、ある意味「非日常」なんです。日々の喧騒から少し離れて、静かに筆と向き合う時間を持つだけで、心が落ち着いたり、頭の中が整理されたりします。たとえば飲食業だと毎日バタバタしていて、終電で帰るような生活を送っている人も多いんですが、そんな中で月に1〜2回だけでも、ゆっくり呼吸を整えるような時間を作ると、本当に気持ちが変わるんです。

──筆を持ち、書くことに没頭することで、心を落ち着かせる。いいですね。最後に、佐藤さんの今後の目標をお聞かせいただけますか?

「書道」と他の分野をつなげていく活動をもっと広げていきたいと思っています。たとえば、私が好きなお酒とコラボしたイベントを開くとか……。まずはお酒が好きな人たちが集まる場所で、気軽に書道を体験できるようなワークショップを開催したいですね。実は一度だけ開催したことがあるんですが、とても好評だったので。ぜひまた実現させたいです。

そうやって他の分野とコラボさせていくことで、書道を「特別なもの」ではなく、日常の中に溶け込むような形で広めていけたらいいなと思っています。「いきなり書道教室に通うのはハードルが高い」という方も、好きなことや興味のある場をきっかけに書道に触れてもらえたら嬉しいです。これからも、書道だけにとらわれず、さまざまなアイデアや人との出会いを通して、自分自身の表現の幅を広げていけたらと思っています。


忙しい日々の中で、静かに筆をとる時間を持つ。

それは、誰かに見せるためではなく、自分の心を整えるための時間なのかもしれません。

佐藤さんのお話を通して、書道は「美しく書く」だけでなく、「自分の内側と向き合う」ことでもあると感じました。

少し立ち止まりたいとき、そっと筆を手に取ってみるのもいいかもしれませんね。

『大人の習いごと図鑑』では、今後もさまざまなジャンルの習いごとにフォーカスし、ライフスタイルやキャリアにどんな良い影響があるかお話を聞いていきたいと思います。次回もお楽しみに。

ソラミドmadoについて

ソラミドmado

ソラミドmadoは、自然体な生き方を考えるメディア。「自然体で、生きよう。」をコンセプトに、さまざまな人の暮らし・考え方を発信しています。Twitterでも最新情報をお届け。みなさんと一緒に、自然体を考えられたら嬉しいです。https://twitter.com/soramido_media

取材

貝津美里

生き方を伝えるライター・編集者
1996年生まれ。“人の生き方の選択肢を広げたい”という想いでライターになる。女性の生き方・働き方・ジェンダー・フェミニズムを中心に、企業のコンテンツ制作やメディア寄稿、本の執筆を手掛けています。埼玉県と新潟県糸魚川市の二拠点生活をしながら、海外にもよく行きます。柴犬好き。
プロフィール:https://lit.link/misatonoikikata

執筆

笹沼杏佳
ソラミドmado編集部

大学在学中より雑誌制作やメディア運営、ブランドPRなどを手がける企業で勤務したのち、2017年からフリーランスとして活動。ウェブや雑誌、書籍、企業オウンドメディアなどでジャンルを問わず執筆。2020年から株式会社スカイベイビーズ(ソラミドmadoの運営元)に所属。2023年には出産し一児の母に。お酒が好き。

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