子育ての悩みや負担をひとりで抱え込んでいて、つらい。
育児が苦しいものでなく、もう少し楽しいものになればいいのに――。
そんな思いを抱える人の肩の力をゆるめ、明日への小さな希望に変えていく連載『ひとりじゃない子育て』。
この連載では、「孤育て」の解消に向けて試行錯誤している人たちの言葉を、皆さまにお届けしていきます。
第3回に登場するのは、Logista株式会社共同代表であり、『夫婦会議®︎』開発研究者の長廣 百合子(以下、ゆりこ)さん・長廣 遥(以下、よう)さんです。

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「子どもが生まれてから、パートナーの存在がどこか遠く感じる」
「子育ての悩みを話したいけれど、どう切り出していいか分からない」
このように、パートナーと一緒にいるのに「孤育て」だと感じている人は多いのではないでしょうか。その孤独感は、仕事と家庭の「両立の危機」や、産後うつ・虐待などの「命の危機」、産後クライシス・離婚などの「家庭崩壊の危機」につながることも少なくありません。
本連載の企画者である私(上野)自身も、その感覚に覚えがあります。第1子の出産を機に夫婦の時間は減り、お互いに自分のことを話さない。気づけば、パートナーに本音を言えなくなり、子育てや仕事、家事などの不安や不満を抱え込んだまま日々を送っていました。
きっと孤独を感じているのは、パートナーも一緒。孤独感や夫婦間のぎこちなさが積み重なるうちに、子どもに優しくできなかったり、家族みんなの時間がどこかぎすぎすしていると感じることもありました。
このままではいけない――
そんななかで出合ったのが、ゆりこさん・ようさんが提案する『夫婦会議®︎』です。

『夫婦会議®︎』とは
夫婦会議は、長廣ご夫婦が開発した日本初の夫婦の対話メソッド。
人生を共に創ると決めたパートナーと、より良い未来に向けて「対話」を重ね、行動を決める場のこと――と定義されており、「世帯経営(夫婦は世帯の共同経営者)」という考え方をもとに、ふたりが納得のいく「わたしたち」の答えをつくり出し、夫婦や家族にとってより良い家庭環境を築いていくことを目指しています。
夫婦会議ではコミュニケーションを、気軽に交わす「会話」、互いに意見を出し合う「議論」、納得のいく結論を導き出す「対話」の3段階に体系化。専用ツールのノートの問いに沿って話し合いを進めるなかで、自然に「対話」へとステップアップできる仕組みになっています。
主に扱うテーマは、夫婦のビジョン・家事・子育て・仕事・お金・住まい・セックス・自由時間・美容と健康・人間関係などの、産前・産後・育児中にズレが生じやすい全10種。妊娠・産後・育児期の夫婦向け「世帯経営ノート」と、対話を習慣化したいすべての夫婦向け「夫婦会議ノート」の2種類があります。
今回は、筆者自身がパートナーと「世帯経営ノート」を実践。話し合う過程で直面した悩みを長廣ご夫婦にぶつけながら、実践を通じて感じた変化をお伝えします。
パートナーとの対話をもっと深めたい方、夫婦や家族など誰かと一緒にいるのに孤独を感じている方は、ぜひ読んでみてください。

今回お話を伺った人

ゆりこさん&ようさん
12歳の娘と4歳の息子を育てる親。第1子誕生後、離婚の危機や家庭と仕事の両立の壁を乗り越え、2015年に夫婦で子育て支援企業Logista株式会社を起業。日本初の夫婦の対話メソッドである、夫婦会議の事業を展開している。
夫婦会議を実践した人

上野
夫と3歳の子どもとの3人暮らし。第2子妊娠中(2026年6月現在)。平和主義で本音を言うのが苦手なタイプ。育児や家事、妊娠中の大変さを夫に言えず、モヤモヤが溜まっている。
「子どもの話」だけでなく「お互いの話」を。“問い”の習慣化が孤独をやわらげる

今日はよろしくお願いします!私は現在妊娠中ということもあり、妊娠・産後・育児期の夫婦向けの「世帯経営ノート」で夫婦会議を実践しています。そもそも、夫婦で対話することは、孤育ての解消にどうつながっていくのでしょうか?

正直にお伝えすると、一度の夫婦会議で孤育てがすっきり解消するとは言い切れません。ただ、一歩踏み出して実践することで、孤独をやわらげる土台をつくることはできます。
なぜなら、夫婦会議は「わたしたち」で答えを創っていくための対話メソッドだから。「わたし」だけでなく「わたしたち」で未来を創るという姿勢でコミュニケーションを重ねるうちに、孤独とは真反対の感覚が芽生えると思います。

夫婦会議が大切にしているのは、「対話」をゴールに据えて話し合うことです。具体的には、「会話」→「議論」→「対話」という3つのステップで「わたしたち」の答えを見出していきます。
このすべてに共通しているのは、相手に意識を向けた「問い」があること。例えば、朝晩の会話なら「おはよう!調子はどう?」「今日はどんな1日だった?」という何気ない問いを交えたり。何か一緒に考えた方が良い内容があれば、「どんなところで悩んでる?」「どうしてそう思の?」と問い合いながら議論を深めたり。最終的には「じゃあ、わたしたちとしてはどうしようか?」という問いで、自然と対話に発展させることができます。
でも、今でこそこんな話をしている僕自身、第一子が生まれたころには妻や家庭に対する問いが圧倒的に不足していました。なぜなら、「自分ごと」になっていなかったから。産後できつい時期の妻が孤独を感じるのは、必然でした。


問いは「関心」の表れです。何より「当事者意識」の無いところに、問いは生まれません。詰問に注意するなど問い方にも多少の工夫は必要ですが、基本的に問いを重ねることで、「気にかけてくれている」「言ってもいいんだ」という安心感や心理的安全性が育まれます。
そして問いが習慣化されると、ふとした瞬間に「実は今、これに悩んでいて……」と本音をポロッと話せるようになる。結果として、すれ違いや孤独感が少しずつほぐれ、産後うつや産後クライシスといった深刻な問題を未然に防ぐことにもつながっていくのです。

お互いが問いに慣れていくことが、孤独感を少しずつ減らしていくのですね。

そうですね。ただ心がけてほしいのは、子どもの話だけではなく、お互いの話をすることです。特に産後は、妻の心と体に目を向けた夫からの問いかけが救いになる。私自身、第1子の産後にひどい孤独感を抱えていたのですが、その理由の一つに、夫が私のことを何も聞いてこないという状況がありました。
夫は帰宅すると、娘のことを気にかけた質問ばかりしてくる。私はそれに答えながら「あなたは1日どうだった?」と問いかける。良い父親ではあるのですが、24時間体制で育児に奮闘しながら心身ボロボロの状態で過ごしている妻の私には「体調はどう?」という問いかけすらない。「夫婦なのに、ひとり」という感覚がじわじわと積み重なっていきました。
でも、幸いなことに産後3ヶ月を過ぎたころからモヤモヤを言語化する力が私自身に戻ってきたんです。その流れで、まず私から夫への問いが増え、少しずつ家庭のことや仕事復帰に向けた対話ができるようになり、孤独感も和らいでいきました。
とはいえ、一度感じた孤独はそう簡単に解消しません。私自身、孤独感から完全に解放されたのは産後1年経ったころの夫婦会議がきっかけです。夫からも私への問いが増え、「わたしたち」で答えを出す習慣が身についたことで、少しずつ新しい夫婦の土台ができていったと感じています。
誘うハードルは自分の中にある?まずは自己対話で「知りたい」気持ちを育てる

夫婦会議が何気ない会話から始まる仕組みになっているのは、そういう理由からなのですね。ただ、ふだん夫婦の会話がかなり少ない私にとって、夫婦会議に誘うこと自体、ハードルが高かったです。

勇気を出していただき、ありがとうございます!そういうご夫婦は割と多いのですが、そんな時ほどまず取り組んでほしいのは「なぜ、パートナーと夫婦会議をしたいのか」を自分のなかでしっかり咀嚼すること。おすすめの方法は、「書く」ことです。
最初は「他人事のような態度に腹が立つ」「なんで話を聴いてくれないんだろう?」など、ネガティブな想いが溢れてくるかもしれません。でも「夫婦関係を良くしたい」「本音を言い合える仲になりたい」というポジティブな想いも、きっと出てくるはず。
両方を紙に書き出したら、時間をつくって夫婦会議をしたい理由をしっかり伝えましょう。口頭で伝えにくいなら、手紙でもかまいません。真剣で前向きな気持ちが理由として伝わると、相手もちゃんと受け止めてくれると思います。夫婦になったということは、一緒に向き合える関係ということでもありますから。

上野さんのように「世帯経営ノート」がお手元にあるなら、最初は自己対話のツールとして、自分一人で書き込んでみるだけでも十分きっかけになります。ノートには妻・夫それぞれ個別に書く欄があるので、まずは自分の箇所を埋めてみる。そうすると、パートナーの考えが分からないと進められない問いの存在に気づくんですよ。「こういう質問があるんだけど、どう思う?」と、誘うハードルよりも相手を知りたい気持ちが勝ってくると、とてもナチュラルなかたちで夫婦会議が始まっているはずです。

とくに世帯経営ノートは、第一章の「馴れ初め」のページから自己対話をしていくのがおすすめです。「出会ったきっかけ、忘れちゃったんだけど覚えてる?」という気軽な切り口で聞けますし、ふたりが夫婦になった原点を思い出すことで、対話へのモチベーションも自然と上がる。仕事での経験などから、会議という言葉に身構えてしまう人もいるようですが、夫婦会議はより良い未来に向けた対話の時間。夫婦の原点から入ると、肩の力を抜いて始められると思います。


自分のペースで書き進めるうちに自然と相手を誘いたくなる、というわけですね。私は少しあらたまった雰囲気で誘ったので、対話をしたい理由は伝えられたものの、相手を緊張させてしまったかもしれないな、と振り返って感じました。

どんなかたちであれ、誘えただけで大きな一歩なんですよ。「信じる」という言葉を分解すると、「人に言う」と書くじゃないですか。人に言えた時点で、相手を信じられているということなんです。
妊娠・出産・育児をきっかけに夫婦がすれ違うと、つい相手への信頼を見失いがちです。でも、パートナーと対話をしたいと思っている時点で、「本当は信じているし、信じたい」という気持ちがちゃんとある。だからまずは自己対話を深めて、相手を信じたいというポジティブな方向にスポットを当て直してほしいです。
特に、これまで伝えられなかった気持ちを切り出すことへのハードルは、誰にだってある。それでも言えたなら、言えなかったときとは確実に違う未来になるはずです。
議論に「?」を残さない。泥臭く言葉を尽くした先に、「わたしたち」の答えが見つかる

夫婦会議は、「わたしたち」の答えを出すためにあるとのことですが、実際やってみると、妥協や我慢なしにふたりが納得いく答えを見つけるのがむずかしくて……。どうしたらいいのでしょうか?

ずばり、時間をかけることです。一度だけ長時間話せばいいという話ではなく、「言葉を尽くして納得できる答えにたどり着いた」と言える状態になるまで、泥臭く回数を重ねることが必要なんですよね。夫婦会議を提案する側の私たちだって、今でも対話の前の「議論」の段階で険悪な雰囲気になることはあります。それでも、「わたしたち」の答えに行き着いたときの幸せを知っているから、時間をかけることは何よりも大切にしています。
AIの台頭やタイパ・コスパ重視の風潮もあって、答えを急ぎがちな時代ですが、夫婦の間では素早く答えを出すことが必ずしもいいこととは限りません。「大切な人と大切なことを話す時間くらい、ゆっくりがいい」と思っています。

そう言われて、ハッとしました。夫との夫婦会議でも、早く結論を出さなきゃと焦っていましたね。たとえば、私はフリーランスとして働いているのですが、収入が安定しないにもかかわらず、長時間労働で、夫に「そろそろ正社員の道も考えてほしい」と言われたんです。そのときに納得しないまま承諾してしまったことが、今もどこかひっかかっています……。


そうなんですね。実は、どちらかが意見を出し切れないまま話し合いを終えてしまうと、出した答えも簡単に崩れかねません。大切なのは、議論に「?」を残さないことです。
議論とは、「わたしたち」の答えを見つけるために、お互いが「わたし」の意見を出し合うことです。この段階での意見の違いは当たり前。むしろ「なぜ?」と掘り下げることで共通の思いが見えてきて、それが「わたしたち」の答えへの近道になってくれます。
上野さんの場合でいえば、「組織で働くことに苦手意識があってこわい」と不安をそのまま伝えてみたり、「正社員に踏み切れない理由を整理したいから、一緒に考えてみてくれない?」と相談するのも良いかもしれませんね。ひとりで考えていたら思いつかなかった答えも、ふたりで知恵を出し合うことで見えてくることもありますから。
とにかく、本音を言わないまま結論を急ぐことは得策ではありません。「反対されるかな」「耳が痛いな」という気持ちがよぎるのは自然なことです。でも議論を恐れずに言葉を尽くしてほしい。「今出せる最良の答えをふたりで出せた」という納得感が積み重なれば、この先どんな問題が起きても一緒に乗り越えていける自信になっていきます。
夫婦の関係は、花を育てるように。努力を重ねてこそ、自然な対話が生まれる

次に夫婦会議をするときは、勇気を持ってもう一歩踏み込んだ気持ちを伝えてみます!とはいえ、まだ夫婦会議の歴が浅いせいか、自然に楽しむというより、義務感が勝ってしまうのが正直なところなんですよね。

正直にありがとうございます(笑)。でも、大丈夫です。みなさん、そういうものですから。夫婦会議を長くやっている人でも「義務っぽくなってきました」と停滞期を感じる人はいるし、私たち夫婦も例外ではありません。夫婦会議をコンスタントにできていたのに、第2子を出産して半年ほどはリズムが乱れて対話らしい対話ができず、ストレスが溜まっていました。
そもそも夫婦の対話は、優先度が高くないとできません。でも、対話の優先度は自然には上がらないんですよね。子どもが生まれたら、子どもの命を守ること、日々の家事や育児をこなすことで精一杯。夫婦の話し合いに時間をかけられないのがふつうです。でもその結果として、産後うつや産後クライシス、離婚の危機など、さまざまな問題が生じやすくなる。対話の優先度が低くなるのは、ある意味で人類共通の課題なんです。

その課題を解決するためにはどうしたら良いのでしょうか。

意識的に対話の優先順位を高めていく工夫があるといいですね。具体的には、対話がふたりにとって「楽しい」「意味がある」という共通認識になっていることが大切です。そのためにおすすめなのが、日々の会話を意識的に増やし、小さな成功体験を積み重ねること。冒頭でもお話したように、「今日調子どう?」「どんな一日だった?」と、一日の始まりと終わりに一言交わすだけでいいんです。
5分もかからない会話ですが、「今日はスッキリしている」「生理中でちょっときつい」「仕事でこんな嫌なことがあって……」など、お互いの状況を分かり合える。自分のことを聞いてもらうだけで救われることもありますし、相手の状態を知っていればその日の関わり方も変わってきます。小さな会話の積み重ねが、話しておいてよかったという成功体験になり、対話の優先度も徐々に上がっていくのです。

もうひとつおすすめしたいのが、見える化です。
話したいことやモヤモヤしたことを一人で抱え込まず、メモしてお互いに見えるところに置いておく。世帯経営ノートを使っているなら、次に取り組みたいページを開いたまま立てかけておく。それだけで「そろそろ話し合いたいね」と自然に対話の優先度が上がることもありますよ。

毎回の夫婦会議のあとに感想を書き込むのもおすすめです。僕はいつも「話せてよかった!」と書くのですが、それを残しておくことで次の夫婦会議のときに対話の大切さを思い出せる。「前回こう書いているけど、どういうところがよかったの?」とアイスブレイクにもなりますし、素直な気持ちが伝わると妻も喜んでくれます。


自然に夫婦会議を楽しめるようになるには、そういった細やかな工夫が必要なのですね。

そうですね。自然に対話を楽しめる関係は、努力あってこそ手に入るものだと思います。
自然の象徴である、花や草木を思い浮かべてみてください。芽を出し、花や実をつけるのが植物の自然な姿だとしても、そのためには日光や水、肥料が必要です。家で育てるなら、毎日様子を見ながら丁寧にお世話をしますよね。
夫婦も同じで、良くも悪くも変化していきます。その変化がどちらに向かうかは、自分たちの努力次第。どうせ変化するなら、誰もが「花が咲いてほしい」と願うように、幸せに向かって成長したいじゃないですか。
夫婦関係において努力は不要と考える人もいます。でもそれは、片方の我慢や歩み寄りで成立している場合が多く、長続きしません。ふたりで努力し合って対話を重ねた先に、「今のわたしたちって、いい感じだよね」と思える関係が育まれるのだと思います。

ただ、産前産後のような差し迫った時期は、対話よりもまず体を休める努力を優先してください。妊娠や出産は、それだけで体に大きな負荷がかかります。それまでコンスタントに対話できていたとしても、一時的にペースが乱れるのは当然のことです。
心身の疲れが癒えて気持ちが上向いてきたら、「自分たちに合った夫婦会議のやり方」をテーマにリスタートするのもひとつ。頻度・時間・場所など、ご夫婦のペースでやり方を整えられるといいですね。ふたりにとって話し合いは大事だという気持ちが共通していれば、夫婦会議はまた回り出します。焦らず、ゆっくり進めていってほしいです。

なるほど。最後に、おふたりにとって「自然体な夫婦」とはどういうことだと思いますか?

僕にとっては、自分の本音に素直でいることが自然体。その本音を夫婦の間でも言えて、行動に移せている状態が、自然体な夫婦という感覚です。
実は以前の僕は、誰にでもいい顔をして、頼まれたら断れない性格でした。それが、夫婦会議を重ねて「大切な人を、大切にできる自分でありたい」という本音を自覚してからは、家族との時間を守るために勇気を持って優先順位をつけられるようになったんです。周囲から見れば、付き合いが悪くなったと映るかもしれません(笑)。でも、自分の本音を夫婦で共有し、実行できている今のほうが、ずっと健やかで自然体だと感じています。

ようが本音を大切にできるようになって、私も嬉しいです。
そんな私にとっての自然体とは、心のままに動ける状態です。それぞれの「心のまま」を持ち寄って、「わたしたち」の答えをつくる努力をできる関係が、自然体な夫婦だと考えています。
ただ、努力を継続するのはなかなかむずかしい。時には、努力が無駄に感じられたり、諦めそうになることもあるでしょう。それでも、夫婦関係をより良くしたい、対話をしたいと願うなら、その気持ちを大切にしてほしい。
「この人のために努力したい」「この人となら頑張れる」と思える相手がいること自体、とても幸せなことです。上野さんや読者の皆さんが、「わたしたち」の答えをつくる時間を夫婦で重ねられるよう、心から願っています。

大切な人を、大切にするために。何度でも言葉を尽くして、対話を重ねていきたい

取材が決まってから執筆を終えるまでの間に、私がパートナーと夫婦会議を行ったのは計3回、合計4時間ほど。そのなかで実感したのは、継続することの大切さでした。
夫婦会議のあとは、ふだん言えなかったことを伝え合い、「わたしたち」の答えが見つかって、夫婦間のぎくしゃくした雰囲気が和らぐ。でも時間が経つと、またわだかまりが積もり、新たな課題が生まれてくる。一筋縄ではいかない現実に、長廣夫婦の「自然体な夫婦になるには、努力が必要」という言葉が改めて響きました。
ただ、確実に良い方向へ変わったことが2つあります。
ひとつは、業務連絡しかなかった私たち夫婦の間に、何気ない会話が増えたこと。「昨日眠れた?」「体調どう?」というささやかな一言でも、お互いの状態を知ることで余計な不安や思い込みが減りました。会話が増えるにつれ、子育てや家事でふと気になることもすぐに聞き合えるようになり、ふたりで心を通わせながら協力できている感覚が生まれてきました。ひとりで抱え込んでいた不安が減り、孤独感がやわらいでいくのを感じています。
もうひとつは、ようさんが言っていた「大切な人を大切にしたい」という気持ちが、自分のなかにもちゃんとあると確認できたこと。以前の私は、育児や家事、仕事に追われて「どうして私ばかり?」と、つい相手を責めてしまいがちでした。でも夫婦会議で、なぜ対話したいのかを言語化し、自分が想像する以上にパートナーが家族のために動いてくれていた事実を知ったことで、もともと抱いていた「大事な人」という気持ちを取り戻せたのです。
これから先、夫婦の対話が滞る時期はまたやってくるはず。重い空気を押し切って話を切り出さなければならない瞬間も、何度もあるかもしれない。それでも、「大切な人を大切にしたい」という気持ちを忘れずに、何度でも言葉を尽くし続けたい。自分とパートナーを信じて、これからも「わたしたち」の答えをつくっていきたいと思います。
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ソラミドmadoについて
取材・執筆

岡山出身。大学卒業後、SE、ホテルマンを経て、2021年からフリーランスのライターに。ジャンルは、パートナーシップ、生き方、働き方、子育てなど。趣味は、カフェ巡りと散歩。一児の母でもあり、現在働き方を模索中。















