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【スカイベイビーズ対談】本能的に何かを求め続けることが、自然体と言えるのかも│堤泰子・伊藤誠

『ソラミド』を運営する、わたしたち株式会社スカイベイビーズでは、メンバーや関わる人が自然体で生きるための“自然体経営”を推進しています。

自然体のかたちは人それぞれで、明確な答えがあるものではありません。

だからわたしたちは、「自然体とは何か」「どうして自然体で生きることが望ましいのか」など、答えのない問いに日々向き合い続けています。この「スカイベイビーズ対談」シリーズは、そうやって自然体について模索する過程を残したいと思い、始まった企画です。

今回は、アートディレクターの堤と、フロントエンドエンジニアの伊藤が、それぞれの考える“自然体”について、あれこれ話します。

そもそも、自然体とはどんな状態を表すのか。生きるうえで、大切にするべきことは何なのか。フリーランス一本で仕事をしていた経験を持つ二人だからこそ感じる「組織に所属することの意味」についても、話題にあがりました。

●スカイベイビーズについて

WEB制作を中心にさまざまなメディアやツールを生み出すクリエイティブ・カンパニー。コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディア、ECサイト等の制作を通じて、人や組織、モノが持つ自然体の魅力を世の中に向けて効果的に発信するサポートを行う。メンバーや関わる人が自分らしく、ありのままの姿で価値を発揮しながら生きるための“自然体経営”を推進。現在、メンバーの全員が個人事業主としても活動している。
https://www.skybabies.jp/

●堤泰子

アートディレクター・Webデザイナー。Webメディア運営を手掛ける制作会社、大手外資系企業のデジタルメディア展開を主としたデジタルエージェンシーで勤務したのち、2013年にフリーランスとして独立。Webサービスやアプリ開発など幅広くデザインを担当。2018年よりスカイベイビーズ所属。3児の母。

●伊藤誠

フロントエンドエンジニア。大学卒業後プログラマーとして勤務したのちWeb業界に転身。デザインなどを学び、デザイナー兼エンジニアとしてWeb制作会社で勤務。2009年からフリーランスとして活動。2019年よりスカイベイビーズ所属。趣味はラジオを聴くこと。

自然の摂理を受け入れることも、自然体?

伊藤

じつは僕、自然体っていう言葉がまだしっくり来ていないんですよ。

でも、スカイベイビーズではこうやって「“自然体”が腑に落ちていない」ってことも、正直に言える。ひとつの考えとして受けとめてくれる環境があります。だからそういう意味では、自然体でいられるとも言えるのかなあ。

面白いですね。どの辺が腑に落ちていないんですか? 

伊藤

僕は、体を壊して働いたことも含めて、それはそれですべて自然体だと思っているんです。

誠さんはスカイベイビーズに入る前、働きすぎて体を壊してしまった時期がありましたよね。

伊藤

そうです。

野生の動物、いるじゃないですか。彼らは弱肉強食の世界に生きている。命の危険にさらされながら生きているけれど、それは自然の摂理とも言えます。僕は自然体という言葉から、まずはそういうことをイメージしたんです。自分がうつ病になっちゃったからこそ学んだこともありましたし、今があるとも言えるから。

一方で、スカイベイビーズで考えている自然体って、本能的なところよりは、もっと大脳新皮質で知覚できることが話題になることが多い気がしています。

確かに、社会的なつながりや、自己実現といった視点で語られることがよくありますね。

伊藤

そうなんですよね。

あ、そうだ。今日堤さんに聞こうと思っていたんですけど。家庭での子どもの姿って、自然体だと思いますか?

自然体だと思いますね。まったく言うことを聞かないときもあるけど(笑)。それも、のびのびと自由に生きているってことなのかなって。

伊藤

子どもに危害が及んだり、過度に抑圧されたりするような家庭環境でない限りは、家にいる子どもの姿って、限りなく自然体に近いんじゃないかって思うんです。

でも、ぬくぬくと守られる環境に慣れすぎると、いつかは動物としての緊張感がなくなっていくかも。それもそれで、本能的といえるか微妙になってくるし……うーん、難しいなあ。

自分の意志で決められる環境で働きたい

伊藤

堤さんは、子育てを機に以前所属していた会社を辞めて、フリーランスになったんですよね。

そうです。二人目の子どもができたのが大きなきっかけでした。

育休・産休に入る一ヶ月前に東日本大震災があって。関東でも電車が止まったりしたじゃないですか。そのときも、直接的な被害があった地域以外ではなんとしても出社するべき、みたいな風潮が社会全体にあったと思うんです。

伊藤

確かにそういう空気、ありましたね。今となってはリモートワークも許されるようになってきたけれど。

臨月でお腹が大きかったのに、出社することを最優先に考えるのが、なんだかしんどくなってしまって。まあ、それはひとつのきっかけに過ぎなかったんですけど。一人目の子どもを出産してからも仕事は続けていたけれど、夜遅くまで働きにくくなっていたり。価値観がガラッと変わっちゃっていたんですよね。

伊藤

以前は、夜中まで働くことは苦じゃなかったんですか?

仕事自体は好きだったし、デザインは集中してやるものだから。夜遅くなったりしても、そんなに気になりませんでした。

伊藤

じゃあやっぱり、子どもっていう、最優先したい存在ができたっていうのが大きな変化だったんですね。

そうですね。フリーランス一本だったときも、スカイベイビーズに所属している今も、仕事をしている以上はどうしてもクライアントのスケジュールがあるから、全部が全部自由とはいきません。

でも、今日の一番にするのか、それとも明日の一番にするのかは、自分で決められます。そうやって、自分で決められることがあるっていうのが、私にとって働きやすい環境なのかもしれません。

フリーを経験したからこそ感じる、組織に所属することのよさ

伊藤

スカイベイビーズっていう環境でいうと、余計な緊張が無いとか、威圧感のある人がいないっていうのは、自然体を生みやすいんじゃないかなって思います。それに、みんなが自立しているというか。

フリーの仕事を持っていたり、別の会社にも所属していたりするから、依存していないですよね。自立している人同士だからこそできるつながりみたいなのがあるかなって思って。そういうのはスカイベイビーズの良いところなんじゃないかなって感じてます。

フラットな関係性だから、ちょっとした相談もしやすい雰囲気がありますよね。

伊藤

それに、一度フリーランス一本での生活を経験したからこそ、共同でやる方が大きいことができるなって実感しているし、フリー時代には直接関わることのなかった職種の人と話せるのも刺激になっています。

フリーだと、どうしても自分のできるパートだけを依頼されますもんね。

今では、コーディングしてくれるエンジニアさんがデザインに対して何を感じているのかとか、改善できるところがありそうなのかとか、声を聞くこともできますし。会社が仕事を受けたいきさつを聞いて気が引き締まることもあります。

身近に自分以外のデザイナーさんがいるっていうのも大きな刺激ですね。フリーランス一本の時期があったからこそ、組織に所属することのありがたみを感じています。

伊藤

フリーだったときって、仕事が入れば入るほど、ある意味安心は得られるじゃないですか。だから、気づけば無理をしていることがあった気がする。でも今は「安心のために無理をする」みたいなのが無くなった気がします。

組織に所属しているっていう安心感があるから、自分の限界をはかりやすくなる。まあ、これが良いのか悪いのかと言われると、どうかわからないけど。少なくとも精神的にはだいぶ安定しましたね。

気持ちの余裕が、ちいさな幸せに気づかせる

このごろ、もっと自分を大事にしようって思うことが増えたんです。働くのは好きだし、以前は張り切って徹夜することもあって。それはそれで、自分の力で稼げることにやりがいを感じてました。

でも、年齢を重ねるごとに、無理がきかなくなってきていて。もうちょっと、健康のために費やす時間が必要だなって思います。

伊藤

うんうん、間違いない。健康、本当に大事です。

僕も、健康でないと何も成せないっていうのは身にしみてわかりましたし。

健康でいるためには精神的に余裕があるっていうのもすごく大事で。ひたすら目の前のタスクをこなすだけじゃなく、ちょっと違うことをする時間とか。そういうのも含めて、気持ちの余裕を持てるような時間の使い方をしていきたいですね。

伊藤

気持ちの余裕に通じることでいうと、僕も程よい緊張感とか刺激があるなかで、選択肢を持ちながら生きていきたいなあと思います。

私にとって、仕事は自己実現でもあるので。時と場合によって優先度のバランスを変えながら、柔軟に続けていきたいです。今のところは、できる限り自分の希望に寄せることができる環境で働けていると思います。

伊藤

あれこれ話してきましたけど……自然体って、幸せになろうとすることなんじゃないですかね。ふわっとしたようなことしか言えないですけど。

大切な人の幸せのためには多少無理をすることもあるかもしれないし、自分が幸せでいるために誰かに助けてもらうことがあるかもしれない。

そういう、幸せを求める過程での多少の無理は、肯定されていいと思う。これも結局、自分で選択して、納得できているかどうか、ということだと思うんですけどね。

誠さんは、どんな自分が幸せだと思いますか?

伊藤

ご飯がおいしかったなあ、みたいな……そういうことを感じられる自分ですかね?(笑)

(笑)。でもそれってすごく大事。気持ちに余裕がなければ、ご飯のおいしさだったり、季節の移ろいだったり、身近なものの美しさだったり……そういうことに、気づけなくなっちゃいますから。

伊藤

じゃあ、今日のこの議論では、ご飯がおいしいなあとか、風が気持ち良いなとか、そういうことを本能的に感じられる状態を、自然体だということにしておきましょうか(笑)。


“自然の摂理”としての本能的な自然体と、高度な知覚を持つ人間だからこそ求める自然体は分けて考えるべきなのか──

冒頭の議論の展開からはそんなことを考えさせられましたが、最終的たどりついたのが、「幸せを求めること」が自然体なのではという意見。

「幸せ」は、社会とのつながりや自己実現など、さまざまな欲求を満たすことで手に入ると考えられますが、その一方で「幸せを求めること」自体はとても本能的な行動なのではないでしょうか。

また、フリーランスとして仕事をしてきた経験を持つ二人が語った、組織に所属することの意味。群れで生きる動物がいるのと同じように、人間も何かに所属するからこそ成し遂げられることや、得られる安心感があるのかもしれません。

今回の対話を通して、人間が動物として何を求めるのか、何か本質的なところを覗き見ることができたように思います。

これからも、スカイベイビーズでは「自然体とは何か」という問に向き合い続け、心地よく、無理を強いられずに生きられる人が増えるよう発信を続けていきます。


ソラミドについて

ソラミド

ソラミドは、自然体な生き方を考えるメディア。「自然体で、生きよう。」をコンセプトに、さまざまな人の暮らし・考え方を発信しています。Twitterでも最新情報をお届け。みなさんと一緒に、自然体を考えられたら嬉しいです。https://twitter.com/soramido_media

執筆

笹沼杏佳
ライター

大学在学中より雑誌制作やメディア運営、ブランドPRなどを手がける企業で勤務したのち、2017年からフリーランスとして活動。ウェブや雑誌、書籍、企業オウンドメディアなどでジャンルを問わず執筆。2020年からは株式会社スカイベイビーズにも所属。
https://www.sasanuma-kyoka.com/