私たちソラミドmado編集部では、「自然体で生きる」ためのヒントや情報を日々発信しています。
取材を通してさまざまな「自然体」のかたちに触れるなかで、私たち自身も改めて“自然体でいること”を見つめ直したい。そんな想いから、編集部のメンバーが自然体に近づくための行動を実践していく連載企画『自然体探求室』がスタートすることになりました。
今回実践してみたのは、『じぶんジカン』の自己探索ノートです。

実践した人

大学在学中より雑誌制作やメディア運営、ブランドPRなどを手がける企業で勤務したのち、2017年からフリーランスとして活動。ウェブや雑誌、書籍、企業オウンドメディアなどでジャンルを問わず執筆。2020年から株式会社スカイベイビーズ(ソラミドmadoの運営元)に所属。2023年には出産し一児の母に。お酒が好き。

岡山出身。大学卒業後、SE、ホテルマンを経て、2021年からフリーランスのライターに。ジャンルは、パートナーシップ、生き方、働き方、子育てなど。趣味は、カフェ巡りと散歩。一児の母でもあり、現在働き方を模索中。
“今のままの自分”を受け入れるために
じぶんジカンは、「自分と向き合う時間をつくる」をコンセプトに掲げるブランド。
自分を見つめ直すためのノートの企画・販売や、コンテンツの発信、自分と向き合うための場づくりなどをされています。
じぶんジカンの代表であるマツオカミキさんには、以前ソラミドmadoのインタビューにも登場いただいたことがあります。マツオカさんご自身の経験を振り返りながら、自分と向き合うことの大切さや、じぶんジカンの活動に込める想いについて素敵なお話をたくさん聞かせていただきました。
今回実践した「自己探索ノート」のテーマは、”そのままの自分を、受け入れる。”
ノートの説明文には、こう書かれています。
「もっと頑張らなきゃ、変わらなきゃ」ではなく
まずは、今のままの自分を
受け入れるところから始めてみませんか。一日の終わりに、うまくできなかった自分を責めてしまう。
まわりと比べて、ダメなところばかり目についてしまう。
自分のことが、あまり好きじゃない。自信もない。けれど本当は
今のままの自分を受け入れて
自分にやさしく、生きていけたら。このノートは
「今のままの自分でも、大丈夫かも」と
少しずつ思えるようになるための一冊です。
私たちもついつい自分のダメなところに目がいってしまったり、なんだか自信が持てなかったりします。これを機に、今のままの自分を受け入れ、もうちょっと自分にやさしく生きられたらいいな……。そんな期待を抱いて、実際にノートと向き合ってみることにしました。

日々いそがしく過ごしていると、ただ目の前のことをこなすだけで気づけばどんどん時間が過ぎていき、自分の心の声をじっくりと聴くことをついつい後回しにしてしまうところがあります。きっと、同じような人は多いんじゃないかなぁ。ノートの力を借りて、自分の心としっかり向き合いたいです。

日記を書くのを習慣にしていたけれど、「書いておしまい」という状態になっていて、行動や意識を変えられている実感がなく……。自分がどんなことに悩み、モヤモヤしているかがわかっても、ネガティブな感情をそのままにしてしまうことが多く、停滞している感じでした。これを機に前向きに自分と向き合えたらいいな。
それぞれの自己探索の過程
今回は、編集部メンバーの笹沼(筆者)と上野が自己探索ノートに取り組みました。自己探索ノートには13の問いが用意されていて、その問いに答えていくことで自分自身の奥深くにある考えや価値観を知り、受け入れるプロセスをたどっていきます。私たちは約1ヶ月の期間を設け、それぞれコツコツと時間を作り、ノートを埋めていきました。その後、互いにノートの内容をシェアして感想を伝え合いました。


日中は落ち着いてノートに向き合う時間がなかなかとれないこともあって、夜、子どもを寝かしつけてから取り組んでいました。ときにはビールをお供に……。酔わない程度にまったりとお酒を飲みながら書き込むと、正直な気持ちがスラスラと出てきました。あとは、実践期間中はノートに向き合っているとき以外にも、ノートの中の問いをスマホにメモして、スキマ時間に思いを巡らせるようにしていました。何気ない瞬間に心の奥深くにある想いが浮かんでくることがあるので、それをメモして後でノートに書き込みました。

仕事が一段落した日の昼過ぎから、1時間ほど時間をとることが多かったです。家では家事やその他の仕事が気になり集中できなかったので、近所のお気に入りのカフェで好きなスイーツとドリンクを飲みながらノートに書き込みました。自分にご褒美をあげられているような空間で取り組むことで、心も落ち着き、より素直な気持ちで自分に優しくなれました。私の場合は、少しずつ何日にも分けて書き込むよりも、集中してガッツリやってしまうほうが自己探索に没頭しやすかったです。なので頻度としては2週に1回ほど、1回に1step(全3step)終わらせるイメージで取り組みました。
そしてここからはさっそく、私たちが自己探索ノートに取り組み「自分を受け入れる」ことができた過程をそれぞれ書き記します。
笹沼:友人が少ないことに引け目を感じる必要はない。自然と通じ合える人を大切に
まず最初の問いで「自分にOKを出せない部分」を挙げたとき、細かいことは色々できてきたんです。例えば、失敗を恐れすぎるところとか、目の前の楽に流されやすいところとか、キャパが小さくてなかなか行動できないところとか。
でも一番ペンが進んだのは、人間関係やコミュニケーションの部分でした。
私は「まったくの他人ではないけど、親しいわけでもない顔見知り程度の人」と接するのが苦手です。特に最近は、子ども関連の人付き合いが増えてきて、顔見知りのママさんとうまくコミュニケーションをとることができない。心のどこかで「もうちょっと仲良くなれたらいいな」と思っているのに。一歩引くべきところで引きすぎてしまって、存在感を消してしまうことが多いです。
ノートの次の問いで「なんでだろう」ときっかけを振り返ったとき、中学時代の部活で人間関係に悩んだことを思い出しました。それまでみんな仲良しで平和にやっていたのに、影響力を持つ人の気まぐれで突然雰囲気が変わって、何人かが順番に仲間外れにされる。私は仲間はずれにされた側でした。あの経験で、必要以上に人の顔色や空気をうかがうようになったのかもしれません。
今は「言い返してやりたかった!」なんて思うけれど、当時はやっぱり嫌われるのが怖かった。だから今も「安心できる相手だ」とわかるまでは壁を作ってしまったり、外面よく八方美人っぽくなってしまったりすることがあります。
でも、その後ノートに沿って「自分をねぎらう言葉」を思い浮かべたとき、最初に出てきたのは「いつも人の気持ちや感情を理解しようとしていて、えらいね」でした。そう思うと、人の顔色をうかがったり、空気を読もうとするのが癖になったのは、悪いことばかりじゃないなと。ライターや編集者の仕事をしていて相手の意図を汲み取る力はすごく役に立っているし、信頼関係を築けた相手から大切な相談相手に選んでもらうことも多いほうだと思います。人の気持ちに敏感になったことで疲れることもあるけれど、それは自分の強みでもあるんだなと気づけました。

私にとって「心地よい」のは、異なる価値観を受け止めて尊重してくれる人や、お互い様の気持ちで助け合える関係性。反対に「心地よくない」と感じるのは、人を見下す人、威圧的な人、意見を押し付ける人、否定から入る人、見栄を張る人……。
その後もノートを書き進めるなかで、私の場合は「安心できる人と、狭くても深く関わることが心地よい」のだと思い至りました。これまで、友人と呼べる人が少ないことにちょっと引け目を感じることがあったけれど、無理に友達を作ろうとしなくてもいいんだと。自然と仲良くなれる人を大切にすれば、それで十分なんだと。
実際に、今は苦手な人と無理に深く関わることもほとんどなく、心地よさを感じられているなぁ、ということにも気づけました。それは仕事でもプライベートでも、互いを尊重できたり助け合えたりする人と関われているから。そしてあらためて、今、居心地のいい環境に身を置けていることに対する感謝の気持ちが浮かんできました。
結局のところ、私は人の気持ちに良くも悪くも影響されやすいんだと思います。傷つきやすいけれど、その分、人の気持ちを理解して信頼してもらえるのは長所です。だからこそ、無理に近づかず、自然と通じ合える人との関係をこれからも大切にしていきたいです。

上野:大切なのはお金よりも「どれだけ満たされたか」
自分のなかで一番モヤモヤが大きいと気づいたのは、お金や評価のことでした。というのも、「自分にOKを出せない部分」で挙げた内容の多くが、お金や他人からの評価に関することだったんです。
例えば、「フリーランスとしてもっとお金を稼ぎたい」という思いを持ちつつも、なかなか自分が思い描く理想にたどり着けない状況が続いていて。仕事の内容や量と時間をすぐお金に換算して「今日は◯◯円しか稼げなかった」と考えてしまう癖があるんですよね。それが「自分はちゃんと仕事ができていない」「社会人として劣っている」みたいな自己否定につながっていました。
次の問いで、そう思うようになったのはなんでだろうと考えたとき、「お金を稼ぐ人が偉い」という価値観が知らないうちに自分の中に染み込んでいたことに気がつきました。「テストで良い点をとって、偏差値の高い学校に進学すること」そして「大きな企業に就職してたくさんお金を稼ぐこと」が良しとされる風潮が、子どものころからじわじわと「お金=正しさ」という価値観を刷り込んでいったんだろうな、と。
だから、「頑張ってお金を稼がなければならない」「良い点数を取らなければならない」「他人から高く評価されなければならない」というルールが、無意識のうちに自分のなかに根を張っていたんです。
過去を振り返って強く思ったのは、これは誰が悪いわけでもなく、環境のなかで自然と刷り込まれたものだということ。だからこそ、自分の子どもに対しては気をつけたいと思いました。勉強は大事だけれど、点数や偏差値のためにやるだけじゃなく、勉強の楽しさを感じながら、自分のやりたいことのために頑張れるような手助けをしたいと思います。
私にとって「心地よくない」のは、お金のためだけに働くこと。やりがいや楽しさを感じることなく、ただただ義務的に働くのはすごくつらいです。あとは、友人との集まりで昇進や昇給の話ばかりになったりすると、すごく居心地の悪さを感じます。その背景には、自分が納得いくほど稼げていないというコンプレックスがあると思います。だから、人の話を聞いて劣等感を抱いたり、自分を認められなくなったりしてしまうんですよね。
一方で「心地よい」と思えるのは、お金のことや人にどう思われるかを気にしなくていいとき。例えば、知らない土地をひとりで散策するときや、日記を書くときだったり、ありのままの自分を出せる相手と笑い合っているときだったり……。以前留学したとき、日本人が周りにいない環境で、人の目を気にせず、自分のやりたいことをじっくり考えられたあの時間も、とても心地よかったです。
私がこれから心地よく生きるためには、お金を目的にするのではなく、自分のやりたいことを軸に仕事を続けていくことが大切なんだろうなと思います。1日を「どれだけ稼げたか」ではなく「どれだけ満たされたか」という感情で評価できたら、幸福度はぐっと上がるはず。キーワードは「お金や他人の評価ではなく、自分が幸せかどうか」です。

これから子どもが成長して、無理をしなきゃいけない場面も出てくると思います。でも、自分の心地よさを無視していいわけじゃない。心地よい日々は意識すればきっと作れる。迷ったときは、このノートをもう一度見返して「無理しないでね」と伝えてあげたいです。
私がノートで「自分をねぎらう言葉」を考えたときに浮かんだのは「あなたは十分頑張ってるよ」でした。長年かけて染み付いた価値観を変えるのは簡単じゃないかもしれない。つい「今日もこれしか稼げなかった」という思考に陥りそうになったら、「お金じゃない、あなたは十分頑張ってるよ」と自分に声をかけられたらいいなと思います。

ちなみに、ノートに書いた内容を笹沼さんとシェアし合ったとき、「もしかすると、大きな企業でたくさんお金を稼いでいる人のなかには、上野さんのようにある程度自分で仕事を選べたり、時間の都合をつけやすかったりする働き方を羨ましいと思う人がいるかもしれない」という言葉をもらいました。私にとっては新しい視点の考えで、またひとつ前向きになれました。誰かと一緒に自己探索ノートに取り組んで内容をシェアし合ってみることも、おすすめしたいです。
問いに向き合い、心の声を聴くほど見えてきた“軸”
最後に、自己探索ノートに取り組んだ二人の感想をお届けします。



最初は目の前の問いと向き合って思いつくままにバーッと書く感じだったけれど、ページが進むにつれ、気づけば自分の考えや価値観の軸が明確に浮かび上がってくる感じがしました。

わかります。どんどん考えが明確になって、「この指針でいけばいいんだ」って頭がスッキリするというか。しかも、短所だと思っていたことがじつは長所につながっていたり、自分にとっては当たり前のことが他の人からしたら羨ましいことかもしれない、なんて気づきもあって、前向きになれたのが嬉しかったです。

これまであまり自分に自信が持てなかったけれど、「こんな自分でも、まあいっか」と受け入れられた気がします。あとは紙に手で書き記すからこそ、心に深く刻まれる感覚もありました。厚みのあるしっかりした紙に自分の気持ちを書くことで、自分自身を大切にしてあげているという実感を持って取り組めるのもよかった。

うんうん。私も「今の自分でも大丈夫だ」って思えるようになりました。問いに答えるなかで自分の弱さと向き合ってちょっとネガティブな気持ちにとらわれても、ページをめくっていくと自然と「それでもいいんだよ」って声をかけられている感じがして。これからも繰り返し見返していきたいなって思いました。悩んだときに読み返したり、追記してみたり。このノートを開くことを習慣にするのがよさそう。

追記するの、いいかも! 定期的にノートを開いて、変わったことがあれば追記していきたい。もしかしたら、今後環境の変化があったりして、考えや価値観が少しずつ変化していくこともあるかもしれないし。それでページがごちゃごちゃしていっても、自分の歩みが残っていく感じがして素敵ですね。
自分の心の声に耳を澄ませる時間を
いそがしい毎日のなかで自分の声をゆっくり聴くって、なかなかできないものです。だからこそ「自己探索ノート」というアイテムの力を借りたことで、意識的に自分と向き合う時間を取ることができ、とても良い機会になりました。
自己探索ノートに取り組むひとときは、「このままの自分で大丈夫」と思える軸に気づかせてくれました。弱さも含めて自分を受け入れられると、自分自身を大切にできる感覚が広がっていきます。ノートを書いてからは、心が軽くなって、毎日がぐっと生きやすくなったと感じています。
そして今後も必要に応じてノートを見返したり、あるいはノートがない場面でも自分の心と向き合う習慣をつけたりして、自分の心の声を聴くことを続けていきたいと思います。
もし今、「もっと頑張らなきゃ」「自分に自信が持てない」と、なんともいえない焦燥感に駆られている人がいたら、ぜひ一度、じっくりと自分と向き合う時間をつくってみてください。きっと、やさしい気持ちで自分を受け入れられるきっかけになるはずです。
ソラミドmadoについて

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