頭痛やだるさ、気分の落ち込み。
天気が崩れる前後に、なんとなく体調が揺らぐ——。そんな「気象病(天気痛)」に悩まされている人が増えています。
ソラミドmado編集部内にも気象病に悩まされるメンバーがおり、以前、気象病をテーマにした記事も公開しました。気象病の専門医である久手堅司(くでけん・つかさ)先生にインタビューしたこちらの記事では、気象病患者が増えている背景や、気象病の原因、不調との付き合い方などを聞き、紹介しています。
今回の『自然体探究室』(編集部のメンバーが自然体に近づくための行動を実践し、気づきを発信する連載企画)では、気象病に悩まされる編集部員2名が、久手堅先生の著書を参考にしつつ、日常的に気象病対策をしてみることにしました。
実践した人

大学在学中より雑誌制作やメディア運営、ブランドPRなどを手がける企業で勤務したのち、2017年からフリーランスとして活動。ウェブや雑誌、書籍、企業オウンドメディアなどでジャンルを問わず執筆。2020年から株式会社スカイベイビーズ(ソラミドmadoの運営元)に所属。2023年には出産し一児の母に。お酒が好き。

ああでもない、こうでもないと悩みがちなライター。ライフコーチとしても活動中。猫背を直したい。
Twitter: https://twitter.com/junpeissu
背骨ケアにつながるストレッチに挑戦
まず気象病とは、気圧・気温・湿度の変化に体が反応し、頭痛、倦怠感、めまいをはじめとする不調が現れる状態のこと。
今回の実践者である二人も、日常的に気象病に悩まされています。
<笹沼>
気圧の変化によって、頭痛や全身倦怠感が現れる。特に毎年秋の間(10、11月ごろ)は、秋の長雨の影響などからか気分の落ち込みを伴う大きな不調に陥りがち。
<佐藤>
低気圧に弱い。頭痛や肩こり、倦怠感、気分の落ち込みが現れる。台風シーズン、特に秋雨前線と重なる10月ごろは調子の悪い日が続き、ぐったりしがち。
そして今回は、久手堅先生の著書である『不調がデフォな私たちの背骨リセット』(主婦と生活社)を参考に、対策を実践しました。

数ある久手堅先生の著書からこの本を選んだのは、以前取材をさせていただいた時に
「背骨は自律神経の通り道でもあるため、背骨を労る習慣を持つことは気象病の症状緩和のためにとても大切」
とおっしゃっていたため。
この本では、久手堅先生と、パーソナルトレーナーの賀来大樹さん監修のもと、手軽にいつでも実践できるストレッチ&運動法「背骨リセット」が提案されています。
今回私たちは、この本に掲載されているストレッチの中から、それぞれの自覚症状に合わせて
<笹沼>
首・肩こり/猫背
<佐藤>
首・肩こり/股関節
にアプローチするストレッチを約1ヶ月間(10月から11月にかけて)実践することにしました。
※書籍の目次より引用。
<首こり、肩こりを改善したい人の「背骨リセット」>
- 腸腰筋のストレッチ
- 後頭下筋ほぐし→モビライゼーション
- ファシリテートストレッチ
- 肩をまわして、ストンッ!
- ペン・チンタックストレーニング
- タオルを使ったストレッチ
- ウォール・ストレッチ
<猫背を改善したい人の「背骨リセット」>
- お尻のストレッチ
- 四つんばいで背中のストレッチ
- 胸のストレッチ
- 深い呼吸(ブリージング)
- 体側のストレッチ
- アームズサークル
- ベントオーバーロー
- 寝返り
<股関節のつまりや痛みをを改善したい人の「背骨リセット」>
- 膝ゆらゆら
- 腰の上げ下げ
- 人魚姫のポーズ
続けるために大事だったのは、「全部やろうとしない」こと
実際にストレッチを生活に取り入れてみて最初にぶつかったのは、習慣化するまでの一歩でした。
久手堅先生のメソッドが特別にハードルが高い、という話ではありません。
二人とも運動習慣がなく、日々の忙しさを理由に健康への意識を後回しにしてしまいがちなタイプのため、私たちの側が追いついていなかった、という感覚です。(そんなんだから、自律神経が乱れやすく気象病にも悩まされがちなのかも……と反省)
最初の一歩として取り組みやすかった、と意見が一致したのは、椅子に座ったままできる首や肩まわりのストレッチ。
まずは「全部やる」ことを目指さず、できるところだけをつまみ取る形で習慣化を試みました。

まずは1日1回でも、とハードルを下げて、座ったまま気軽にできるストレッチから実践。少しずつ続けるうちに気持ちよさを実感し、ふとした時に「やっておこう」と行動に移せるようになっていきました。

デスクワークなので、基本的には一日中椅子に座りっぱなし。最初は「ストレッチするぞ」と意気込み、椅子から離れてストレッチをしていましたが、続きませんでした……。集中力の切れ目で、その場ですぐにできるストレッチから取り組み始めたところ、少しずつ習慣になっていきました。
また、「既にある習慣とセットにする」というのも、ハードルを下げるのに最適でした。トイレに行く時や、飲み物を取りに立つ時に、ついでにどれか一つストレッチをする、といった具合に。
たとえば歯磨きのように「やるか、やらないか」を考えなくていい状態に近づけること。それが、私たちにとってはいちばん現実的な習慣化の一歩でした。
これは以前久手堅先生もインタビューでおっしゃっていたことです。
まずはちょっとしたことからでいいので、日常的にケアを取り入れる習慣をつければいいのです。仕事の合間に軽く首を動かすとか、飲み物を取りにいくついでに肩を回すとか、そのくらいのケアならきっと誰でもできるはずです。習慣になれば、次のステップとしてさらにもう一歩進んだケアがしやすくなります。
確実に、気象病の症状は改善された
習慣化へのハードルをなんとか乗り越え、少しずつストレッチを積み重ねていった私たち。
実践者の二人は、気象病の症状が改善されたと確実に実感しています。

毎年体調を大きく崩しがちな10、11月を振り返ると、今年は「踏みとどまれた感覚」があります。以前は天気が崩れると酷い頭痛に悩まされて何もできなくなることもありましたが、ケアを始めてからは頭痛がぐんと減りました。メンタルの波もかなり小さくなったように感じます。この調子で続ければこのまま気象病とおさらばできるのかも?と、今後に向けたモチベーションも上がっているところです。

習慣化といっても毎日欠かさずにストレッチを行えたわけではありません。それでもストレッチをすると、だるさや倦怠感が軽減する感じがしました。特に寝起きのとき、ぼくは背中がゴリゴリに凝っている感覚がいつもあるのですが、それがほぐれて、「今日は頑張れそう」と思えました。ちょっとだけでもやる意味はあると断言できます。
気象病は数字で表せないものだからこそ、個人の感想としてしか結果をお伝えできないのが、なんとももどかしいものです。
「不調が出てから」ではなく「日頃から」が大切
実践を振り返る中で何度も話題に上がったのが、
「調子が悪くなってから始めるのでは、たぶん遅い」という気づきでした。
体調が落ちている時ほど、新しいことを始める余力はありません。
実際に私たちも、元気で心に余裕がある時でなければ、ストレッチを取り入れること自体が難しかったと感じます。
だからこそ、本来は不調が出てから対処するためにやるものというよりも、崩れにくくするための日常的なメンテナンスとしてやるものなのです。
久手堅先生がインタビューで話してくださった
「日頃から体を整えておくことが大切」という言葉を、身をもって実感した感覚があります。
睡眠不足、夜更かし、仕事の忙しさ、電子機器の使いすぎ……。生活リズムが崩れれば、自律神経も乱れる。姿勢の悪さも、背骨にダメージを蓄積し、不調につながりやすくなります。
ストレッチは、体調を崩しにくくするためにとても効果的なケアではあるけれど、根本にある生活習慣は、やっぱり別で向き合わないといけません。
今回の実践が、自分の体調や生活を見直す“きっかけ”になりました。

私はとにかく姿勢が悪く、首の痛みにも悩まされがち。これもきっと気象病の症状の原因の一つになっていると思うので、もっと日常的によい姿勢を心がけなければと再実感しています。そして姿勢が悪いのは、背中やお腹の筋力が足りていないからだという気がするので、筋トレ的なことも始めてみようかな。

ぼくも姿勢が悪いし、全身が硬い。紹介されていたストレッチの中にも、体が硬くて、その通りに実践できないものもありました。日頃から運動習慣を身につけること、体を柔らかくするためのストレッチも行うこと。今回挑戦したように、まずはハードルを下げてできることから少しずつ始めたいと思います。
気象病と向き合う中で私たちがたどり着いたのは、「これをやれば治る」というシンプルな答えではありませんでした。
不調が出てから慌てて対処するのではなく、大きく崩れないために、日常の中でそっと整えておく。そんな向き合い方ができるようになったこと自体が、私たちにとっては大切な変化だったのかもしれません。
この記事を読んでくれた皆さんが、「今日は少し肩を回してみようかな」と、自分の身体に目を向ける……そんな小さなきっかけを届けられればうれしいです。
ソラミドmadoについて

ソラミドmadoは、自然体な生き方を考えるメディア。「自然体で、生きよう。」をコンセプトに、さまざまな人の暮らし・考え方を発信しています。Twitterでも最新情報をお届け。みなさんと一緒に、自然体を考えられたら嬉しいです。https://twitter.com/soramido_media














